ブランド定点観測 Vol-6「ジャガー・ルクルト」

スイスウォッチブランドの中では「プレステージ」に近いジャガールクルト。しかしいわゆる名門ではありますが、「名門」というフレーズにあぐらを描く事なく、常に挑戦を続ける側面も持ちあわせています。2020年も躍進が期待できそうなジャガー・ルクルト(通称JL)を僕目線で書いていきます。

時計好きの青年の呟き、「ジャガールクルトは面接でマイナス?」

Job interview with resume b...

Job interview with resume before interview

上の外資系のような就活はまだまだ少数おそらく日本では複数以上の面接官が行う「取調べ風」の面接が大半でしょう。そのため大手転職サイトでは就活生に「時計をつけるよう」、促しているのでしょう。
強盗容疑者の共犯者の写真を示す刑事のミディアムショット

強盗容疑者の共犯者の写真を示す刑事のミディアムショット

今回僕がTwitter上で見かけたとある、青年は大学3年生であるにもかかわらず、ジャガールクルトを購入し就活でその時計をつけていくか心配していました。その理由は面接官の心象を悪くするのでは?というものでした。
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若人が持っているJLはマスター、6時の位置にスモールセコンドがあり、上の現行品のようなジャンピングデイトでは無いモデルです。ここに写真を載せられないのが残念ですが、もし良ければリンク先で実物を見てください。
若干21歳前後でジャガールクルト、若者の時計離れが言われる中、彼のような人を見つけ僕は心底嬉しく感じました。それと同時にそのような時計をつけても決して気後れする事なく街を歩き仕事に勤しんで欲しいと願います。
少し脱線しましたが、彼には面接にジャガールクルトは大丈夫とツイートしておきました。理由は街中でジャガールクルトを知っている人は業界関係者か単なる時計好きだけです。ロレックスを知っていて同時にジャガールクルトを知っている人は極めて稀だと思います。
ビジネスマンに手を振るコーヒーテーブルのオフィスのロビー

ビジネスマンに手を振るコーヒーテーブルのオフィスのロビー

もし面接官がJLを知っていたらそれこそ、相手が共感する事間違い無し。おそらく即内定でしょうね。しかし高い時計を付けていくことで「相手が心象を悪くする」そのことを心配する必要は全くありません。なぜならほとんどの人がJLを知らないからです。おそらくJLのシックな外観を見て普通の人は「随分クラシックな時計をしているなあ」としか思わないでしょう。
それくらいジャガールクルトは、まだまだ一般人にとってはマイナーブランドといえるでしょう。その割には新品価格が高く、気軽に手に入るブランドではありません。ただ、中古では意外に安く販売しています。かの青年もそのことを喜んでいました。

トケマーでも掘り出し物が多く、安い!

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さてトケマーはと覗いてみたところ、JLは確かに安い中古価格です。上の写真のマスターは50万円代の出品です。しかもクレジットカード決済がOKでした。当然ジャガールクルトの人気は高く、在庫ありは2020年8月5日午前中で10件のみ。
つまり知っている人はジャガールクルトは「中古がお得」ということを知っているのですね。ブランパンやジャガールクルトはリセールバリューが低いと言って敬遠する人も確かにいます。
しかしリセールバリューだけに注目して、他のブランドへ走るのは個人的に疑問です。ジャガールクルトのムーブメントは優秀で、他ブランドへも提供するくらい性能が良いもの。そのためヨーロッパでは評価が高いブランドです。
実際にchrono24で検索してもジャガールクルトのマスターで検索すると42件もヒットします。何よりも驚きは実に多くの型番の出品があることです。そのことでマッチングが難しく、結果的に「買い手」が決まっていない、買取店でのリセールバリューが低くなるのでしょう。
ではなぜJLは価値の分かる人には理解されるのでしょう?それはジャガールクルトが「エンジニアリング」の哲学の元、創業したブランドだからです。

歯車工場が、時計ブランドへ成長

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創業者アントワーヌ・ルクルトはこれまでのスイス時計ブランド創業者と決定的に違うことは時計に対し、創業時より「高い精度」を求めていました。これは元々時計部品を製造する会社が始まりであったことです。
スイスブランドの創業はそれまで各々で作業を行なっていた時計職人たちをひとつにまとめる、「オーガナイザー」的な役割を始めたことがブランドの始まりでした。それに対して、ジャガールクルトは時計の歯車工場がそのままブランドへと成長していったものだったのです。

Our Maison – "The Story of Jaeger-LeCoultre" by Jaeger-LeCoultre

彼らは最初から分業では無く、「マニュファクチュール」でした。しかし創業時のスイス時計界は当然、16世紀から続く分業制度「キャビノチェ」が色濃く残っていたはずです。また時計は工芸品であり芸術的な扱いをするモノ、装飾品でした。
悪い言い方をすると、芸術品であればOKで機械としての性能はどうでも良い。こんな風潮があったかも知れません。そんな時代アントワーヌはアートの世界にエンジニアリングを導入して結果それらを融合させたのでは?と僕は考えます。もちろん僕の私的な意見ですが。
これも僕の想像ですが、当時マニュファクチュールという手法は現場や業界から「総スカン」を食らった可能性もあります。しかし創業者は3代に渡り哲学を継承、今日に至ります。

実用性と美しさをとことんこだわる

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さて、再び現行品のマスター・コントロール・カレンダーです。これをすごいと感じるところはなんといってもポインターデイト 風(JLでは何と呼んでいるか不明)のカレンダーです。ムーンフェイズの6時の位置に来ると、それを隠さないようにジャンプして移動する点になります。
他のブランドだったら、なかなかできないこの機能、しかしこれだけの機能を持っていても薄さは僅かに 10.95mmです。マスターは本当良いですよね。僕は2020年の2月にブティックでマスターを見ました。上のモデルではありませんが、何かが違う!と絶句した記憶があります。
ジャガールクルトをこよなく愛する人たち、そして実際に保有している人はぜひこのJLの質感を堪能してください。僕もいつかJLを購入するなら、上のマスターコントロールカレンダー欲しいです。
Twitterの青年君、就活頑張ってね。いっそジャガールクルトのグループ会社、リシュモン・ジャパンに就職したら?
時計をしていっても面接で喜ばれるよ!

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Source: 時計怪獣