ロイヤルジュピター21石

ORIENT(オリエント)
ROYAL JUPITER(ロイヤルジュピター)
21石
イメージ 1

 この「ロイヤルジュピター21石」が登場したのは、1958年(昭和33年)11月頃とされています。この製品は、オリエント製品群の中でもとても謎めいた代物で、希少で貴重な品でもあり、まさに珍品という時計です。私が思うオリエント三大珍品は「ヒノマチックスポーツ」、「ロイヤルジュピター」、「テンビート」です。その中に属すこの「ロイヤルジュピター」は、欲しくてもまずモノが出てこない。つまり市場に出回らないほど既存数が極僅少というのが現状です。

 ムーブメントですが、1955年より展開されオリエントの全盛期を迎えるに当たり、黄金期の駆出しを支えてきたT型の本中三針機です。手巻21石仕様の毎時18000振動機です。耐震はルビーショックことR耐震装置で、テンワはチラネジ付きとなっています。基本「マルス21石」と同じなのですが、この「ロイヤルオリエント21石」のムーブメントには、三番受で確認がとれるように5姿勢調整のムーブメントになっています。それまでのT型と違い、高級感というよりもより高精度感を感じられるムーブメントのように見受けられます。この晩年T型で気になるのが、三番受の刻印です。「マルス19石」では「ORIENT☆19JEWELS」でした。しかし「マルス21石」からは「ORIENT WATCH CO JAPAN 21 JEWELS」といように、それまでの表記から随分と変わりました。この長い刻印表記のT型製品は現存機が圧倒的に少ない傾向にあるので、私は輸出用だとか米軍管轄の時計店向けの製品で、国内に流通していないのではないかとも考えました。しかし、そのようなことはなく当時の市場で存在していたとの情報も耳に入れました。現存が僅少過ぎるが為に謎めいていますが、ただ単に当時売れなかったと思うしかありません。そして、この製品にはここで紹介する21石以外にも、23石も存在しておりT型ムーブの最高級機として位置付けられます。「ロイヤルジュピター21石」という製品だけでも珍品なのですが、23石仕様となるとよりもっとその珍品度は増すことになります。お気づきかもしれませんが、その辺がオールドオリエントの面白いところでもあり、ファンが絶えない理由なのです。
 文字板ですが、この製品のペットネームでもある「ROYAL JUPITER」の印字表記が12時下に記されています。この一行が持つ破壊力はオリエント好きにしか分からない文字なのです。実はこの製品が登場して、ひと月も経たない頃に「N型」という新型ムーブを搭載した「ロイヤルオリエント」なる製品が登場しました。この「ロイヤルジュピター」があまりにも謎めいた珍製品なので、「ロイヤルオリエント」の極一部の最初期製品なのではないかとも噂されるほどでした。しかし、ちゃんと「ロイヤルジュピター」はT型の晩年最高級機として存在していました。
 外装ですが、ここで紹介するものは非防水金メッキケースで、裏蓋ステンのスナップバックとなっております。他にも非防水ステンレスケースも存在しております。
 当時の価格ですが、資料等も無いためにはっきりとしたことが分かりません。ただ、少々似た機種として「マルス21石」の金メッキが9150円ですので、おそらくですが9500円前後くらいだったのではないかと推測します。
イメージ 2
イメージ 3

1958年(昭和33年)製造開始
・金メッキケース 
・手巻
・非防水 
・プラスチック風防
Cal.ナシ(T型)
21
・毎時18000振動
10.1/2型ムーブメント
R耐震装置 
・チラネジ付きテンプ
・5姿勢調整機
・スナップバック 

ヒノマチコのブログを応援してくださる方は、下記のランキングURLをクリックしていただくことで、更新の励みになりますので宜しくお願いします。
人気ブログランキング→ https://blog.with2.net/in.php?1692514


Source: hino_matico