【世界に500本しかない歴史的名作】ジャガールクルト「レベルソ トゥールビヨン」(レベルソ コンプリカシオン第2弾)
ブログ担当者:須川
■【世界に500本しかない歴史的名作】ジャガールクルト「レベルソ トゥールビヨン」(レベルソ コンプリカシオン第2弾)
今回は、腕時計の“歴史的名作”を紹介する企画として、
ジャガールクルト
レベルソ トゥールビヨン
(1993年)
を紹介します。
その名作とは、こちらです。
一見すると、一般的なレベルソに見えるかもしれません。しかし、裏側を向けると、その魅力が現れます。
レベルソは反転可能な時計ですので、裏面をひっくり返して前面にもってくることができます。その裏面からは、
・トゥールビヨン機構
・パワーリザーブインジケーター
が備えられていることが確認できます。
このように、レベルソトゥールビヨンは、表面はシンプルですが、裏面では“複雑時計”の表情を見せる時計なのです。
今回は、この作品を“歴史的名作”として紹介したいと思います。以降で、歴史的な背景を含めて説明していきます。
■レベルソトゥールビヨンの誕生
1991年、ジャガールクルトはレベルソの60周年を祝い、複雑機構を組み込こんだレベルソを作り上げました。その60周年記念モデルは500本限定で作られ、手巻きのCal.822をベースにポインターデイトとパワーリザーブインジケーターを組み込んでいました。当時約400万円ほどしたその時計は、時計愛好家からの反応も良く、無事に完売に至りました。
この成功を皮切りに、ジャガールクルトは、2000年までに6つの複雑機構をもつモデルを完成させました。それが、「レベルソ コンプリカシオン」です。それぞれ、追加機構を組み込むために、当時としては大振りなケース(グランタイユ≒ビッグレベルソ径)を採用していました。その系譜は以下の通りです。
<レベルソ コンプリカシオン>
①60周年記念モデル/1991年
②トゥールビヨン/1993年
③ミニッツリピーター/1994年
④クロノグラフ・レトログレード/1996年
⑤ジオグラフィーク/1998年
⑥パーペチュアルカレンダー/2000年
これを見ても分かるように、レベルソコンプリカシオンの第2弾として、1993年に登場したモデルが、「レベルソ トゥールビヨン」なのです。
↑Ref.270.240.682(270.2.68)
こちらも500本限定モデルで、裏蓋には「〇〇〇/500」と、限定刻印が彫られます。K18ピンクゴールドのケースを採用し、トゥールビヨン機構を組み込んだCal.828が搭載されています。
この作品は、1993年の話題作として発売され、すぐに完売になりました。その希少な存在もあり、手放す方も少なく、かなりのレアモデルになっています。事実、当社の長い歴史の中でも、このレベルソトゥールビヨンを取り扱いした回数は、片手で数えるほどしかありません。それだけレアな存在です。
■レベルソトゥールビヨンの凄さ
レベルソトゥールビヨンの凄さは、歴史的な背景を交えて話す方が分かりやすいでしょう。
一番分かりやすい背景としては、「ジャガールクルトにとって、初の“トゥールビヨン腕時計”である」という点です。
現在は、製造技術の発達により、トゥールビヨン腕時計を作る難易度は下がっており、トゥールビヨンが珍しいということはないでしょう。しかし、レベルソトゥールビヨンが登場した1993年時点で、“トゥールビヨン腕時計”はまだ黎明期であり、「挑戦的な新技術」という斬新なイメージでした。なぜなら、腕時計にトゥールビヨンが搭載され始めたのは、その直前の1980年代半ばからだからです。
そのような時代背景で、ジャガールクルトが威信を掛けて産み出した“初のトゥールビヨン腕時計”が、レベルソトゥールビヨンなのです。その存在が特別であることも、理解できるでしょう。
※トゥールビヨン腕時計の歴史については、過去の投稿をご覧ください
↓↓↓
「なぜブレゲ「クラシック3350」は時計愛好家に評価されるのか? ~デザインで魅せた、最初の腕時計トゥールビヨン~」
さらに、レベルソトゥールビヨンの凄い点があります。それは、「特殊な“長方形ケース”にトゥールビヨン機構を収めた」点です。
基本的に、腕時計は“丸形ケース”を採用することが多く、その内部のムーブメントも丸形で作ります。丸形ムーブメントの場合は、横方向にも縦方向にも幅がありますので、輪列を組み込む自由度がある程度高いと言えます。
しかし、レベルソの長方形ムーブメントは、縦方向には幅がありますが、横方向に幅がありません。そのため、輪列の組み込みに制限があり、追加機能を組み込む難易度は高いでしょう。さらに、レベルソは“反転ケース”にする設計上、ある程度の厚みを与えることになります。そのため、バランスを取るなら、厚みもあまり増やしたくないでしょう。
ジャガールクルトは、その不利な状況にあるレベルソに、サイズを適度に抑えながらトゥールビヨン機構を組み込みました。その完成した姿が、想像以上にスタイリッシュだったので、多くの時計愛好家は驚いたことでしょう。
↑丸形と長方形ケースの比較
上:ブレゲ/クラシック3350
下:レベルソトゥールビヨン
つまり、レベルソトゥールビヨンには、
①歴史的な評価
→ジャガールクルトにとって、初の“トゥールビヨン腕時計”
②技術的な評価
→特殊な“長方形ケース”にトゥールビヨン機構を収めた
という、2つの凄さがあるのです。
それに加え、希少性も高いため、私としては、とても興味深い存在です。まさに、1990年代の名作です。
レベルソトゥールビヨンがセカンドマーケットに出てくることは稀だと思いますが、皆さんが、それに出会うチャンスがあるのであれば、是非、歴史的な背景を踏まえて味わってみてください!
※おすすめ動画
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「【ジャガールクルトを語る】やはりレベルソのムーブメントは「Cal.822」であって欲しい!」
Source: komehyo
Jaeger-LeCoultre, NEXT VINTAGE, 未分類
Posted by Komehyo
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