ご存じですか?グランドセイコーの2つの人気文字盤 ~「雪白(ゆきしろ)」と「白樺(しらかば)」~

ブログ担当者:須川

 

■ご存じですか?グランドセイコーの2つの人気文字盤 ~「雪白(ゆきしろ)」と「白樺(しらかば)」~

 

今回は、グランドセイコーの2つの人気文字盤を紹介します。

 

ひとつは、

 

雪白(ゆきしろ)

 

もうひとつは、

 

白樺(しらかば)

 

です。

 

この2つの文字盤は、グランドセイコーの中でも珍しく、文字盤に「雪白」「白樺」というニックネームがつけられています。これは、他のブランドにはない文字盤ということもあり、現在は世界的な人気を獲得しています。それは、海外でも「スノーフレーク」や「ホワイトバーチ」と呼ばれていることからも、伺い知れます。

 

今回は、この2つの人気文字盤を紹介し、さらに、私が感じる魅力をお伝えします。

 

 

 

 

 

 

■2つの人気文字盤

 

では、早速、2つの人気文字盤を紹介します。

 

 

 

①雪白

こちらは、その名の通り、“雪”をイメージした文字盤です。海外ではスノーフレークと呼ばれているそうです。確かに、文字盤をよく見ると、雪が積もっているように感じる文字盤デザインです。

 

この“雪白”文字盤が初めて登場したのは、2005年のことです。SBGA011という型式のモデルでした。

↑初代雪白/SBGA011

 

この初代雪白モデルであるSBGA011は、「スプリングドライブ」を搭載するモデルです。このスプリングドライブであることが、この文字盤の誕生とも関係しますので、少し説明します。

 

セイコーは、機械式時計からクォーツ時計まで、さまざまな時計をたくさん作っています。そのため、製造工房にも専門性を持たせて、別の組織にしています。そして、スプリングドライブを始めとした、クォーツ系の開発を担うのは、長野県塩尻市にある「信州 時の匠工房」です。

 

実は、この時の匠工房から見える「穂高連峰に積もる雪」からインスピレーションを得て作られたのが、この“雪白”文字盤なのです。だから、メカニカルではなく、スプリングドライブモデルからこの文字盤が登場したのです。

 

この文字盤は、引いた位置から見ると、確かに「白色」のように見えます。しかし、角度と距離を変えると、「アイボリー」や「シルバー」系の色味にも見える、不思議な味のある文字盤です。これは、この文字盤の作り方に秘密があります。実は、“光沢を抑えた銀メッキ”を使って、この色味を出しているそうです。この技法により、単純な白色には見えない雪白文字盤が誕生したのです。

 

雪白の代表モデルは、初代のSBGA011です。しかしマイナーチェンジがあり、2017年には、グランドセイコーの独立ブランド化に伴って、SBGA211にモデルチェンジします。もちろん、大人気の文字盤になった雪白文字盤は、ラインナップを広げ、このモデル以外にも使われるようになっていきます。

↑マイナーチェンジ後/SBGA211

 

さらに、その後も幅を広げ、2020年には水色の色味をもつSBGA407が登場します。これは色が白ではないので、「雪」とは言えなくなりますが、海外では「スカイフレーク」とも呼ばれているそうです。

↑スカイフレーク/SBGA407

 

さらに、2021年には、正規販売店のOOMIYA和歌山本店の限定モデルとして、黒色の色味のSBGA441が登場します。これは海外で、「ブラックスノーフレーク」と呼ぶ人もいるそうです。

↑ブラックスノーフレーク/SBGA441

 

 

 

 

 

②白樺

 

こちらは最近誕生した新文字盤、“白樺”です。海外では、「ホワイトバーチ」と呼ばれることもあるようです。確かに、文字盤をよく見ると、樹皮のように感じるデザインです。もちろん、白樺の木からインスピレーションを得たデザインです。このモデルは、登場まもなく世界的に大反響を呼び、今では、多くの愛好家から「白樺」モデルと呼ばれています。

 

この文字盤は、2021年に、新デザインのライン“シリーズ9”から登場した、SLGH005で初採用されました。

↑初代白樺/SLGH005

 

この初登場のモデルは、新型メカニカルキャリバー9SA5を搭載しています。そのため、開発は、雪白を作った長野の工房ではありません。こちらの開発は、機械式時計を担う、岩手県岩手郡雫石町の「グランドセイコースタジオ 雫石」です。やはり経緯としては、雪白の文字盤が作られた文脈に近く、「雫石公房の近くの“白樺の美林”から着想を得た」そうです。

↑メカニカルキャリバー9SA5

 

私は、岩手の工房から「岩手の白樺」を出したことによって、長野の工房の「長野の雪白」と対を成すような存在になるのかと思いました。しかし、すぐにその予想は裏切られました。なぜなら、翌年の2022年、スプリングドライブを搭載した白樺である、SLGA009が登場したからです。これは、「長野の白樺」からの着想だそうです。

↑長野の白樺/SLGA009

 

これにより、「岩手の白樺」と「長野の白樺」が両方とも存在することになりました。雪白には“長野”色があっただけに、白樺は微妙な設定になってしまいました。

 

そして、この人気の白樺もまた、バリエーションが増えていきます。翌年の2022年には、オンライン専用モデルで緑色のSLGH011(白樺グリーン)が登場し、さらに、黒色のSLGH017(夜の白樺)が登場します。これらは、両方とも9SA5を搭載する岩手の白樺です。

 

 

 

 

 

 

■雪白と白樺の魅力

 

雪白と白樺は、両方ともかなりの人気を得ています。その人気は、日本だけでなく、海外からもです。

 

その人気の理由は、もちろん、“目を引くデザイン”が大きな要素でしょう。特に、最近の時計業界のトレンドでは、「文字盤で魅せる」ことが大切なポイントになっています。例えば、H.モーザーやロレックスの「グラデーション」カラー文字盤は人気ですし、ロイヤルオーク(オーデマピゲ)の「タペストリー」文字盤もよく語られる要素になっています。

↑最近は「文字盤で魅せる」トレンドがある

※H.モーザーのフュメ文字盤

 

この「文字盤で魅せる」トレンドがある背景があるので、グランドセイコーの雪白や白樺は、多くの愛好家にとってとても魅力的に映るでしょう。

 

そして、雪白や白樺は、そのデザイン以外の魅力も持っています。それは、“特定の場所でしか購入できないステータス”です。

 

少し説明します。実は、グランドセイコーは、ブティックや百貨店以外にも、量販店などでも販売しています。そして、以前までは、量販店ではメーカー価格よりも安く販売していました。そのような状況があったため、「同じモデルを買うなら、量販店の方がお買い得」という状況だったのです。もし、この状況で同じモデルを販売するだけだと、ブティックや百貨店はなかなか売上が作れなくなります。

 

そこで企画されたのが、特定の場所でしか購入できない“一部店舗のみの限定販売モデル”です。例えば、「マスターショップ限定モデル」が企画され、それらはずっと、ブティックや百貨店でしか購入できないモデルでした。このように、セイコーは特別対応をするモデルを作っているのです。

 

実は、雪白と白樺は、“一部店舗のみの限定販売モデル”なのです。この特別な店舗でしか購入できないというステータスは、購入者にも満足感を与えてくれるでしょう。

↑SBGA011/雪白はマスターショップ限定モデルでした

 

そして同時に、この事実は、

 

「雪白や白樺には、“集客の武器になる”ほどの魅力がある」と、セイコーは認識している

 

ということを示しています。

 

つまり、雪白や白樺は、自他ともに認められる「魅力あふれる時計」なのです。是非、気になる方は、その文字盤を直にチェックされることをおすすめします。その文字盤は、写真で見るより、ずっと、魅力を感じると思います!

 

 

 

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Source: komehyo

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Posted by Komehyo